大判例

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佐賀地方裁判所武雄支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人を懲役六月に処する。

ただし、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一を被告人の負担とする。

理由

一、罪となるべき事実

被告人は、

第一、佐賀県杵島郡江北町杵島炭礦株式会社杵島礦業所に稼働していたものであるが、昭和二五年一〇月同礦業所を解雇され、その後所定の期間内に当時居住中の同会社の社宅江北町大字上小田二、二四七番地所在杵島五坑双葉町二舎より立退かないので、同会社より家屋明渡しの民事訴訟を提起され同訴訟は佐賀地方裁判所武雄支部において係属し、昭和三六年一二月二七日右裁判は同会社の勝訴にて確定した。ところが、その後も被告人が右裁判に基づく明渡しをしないので、同会社代表者代表取締役帆足四郎は同裁判所武雄支部所属執行吏下平瑳玖朗に対し右判決に基づく社宅明渡しの執行を委任した。そこで右委任に基づき下平執行吏が昭和三七年一〇月二五日午前九時三〇分過頃から被告人の居住する前記社宅において被告人に対する右社宅明渡しの強制執行に着手し、同日午前一一時頃同執行吏が同道した同執行吏の指揮下にある労務者江頭孝幸(当四二年)ほか六名を使役して同社宅から家財道具を屋外に搬出中、右労務者江頭孝幸が同家入口炊事場よりアルミニユーム製羽釜を持ち出そうとしたところ、被告人は同羽釜を取り上げてこれを以て同人の頭頂部を一回殴打し更に続けて殴打せんとしたところ江頭が左腕を挙げてこれを防いだので、その左腕を殴り、ついで部屋の奥よりステンレス製薄刃庖丁を持ち出し、これを右手に握つて江頭の前に「殺すぞ」といつて突きつけて脅迫し、以て同執行吏の職務の執行を妨害し、その際右暴行によつて右江頭に対し治療三日間を要する頭頂部打撲血腫形成、左肘部打撲剥皮擦過傷、皮下溢血の傷害を負わせ、

第二、昭和三八年三月三一日午前一一時五〇分頃前記自己の住居の西隣りの佐々木恵子(当二九年)を同人方前通路に呼び出して同人等が共同使用している排水溝に塵芥を捨てたと因縁をつけた上同人の手を引張つて草履ばきの足で同人の下腹部、大腿部、腰部等を二、三回蹴り上げついで同通路北側の土手に同女を押し付けた上同人の顔面を素手で五、六回殴りつけ、よつて同人に治療一九日を要する頭部、腹部、右肘部、右大腿部打撲症、頭部打撲後遺症等の傷害を負わせ、

たものである。

二、証拠の標目(省略)

三、法令の適用

判示第一の所為中公務執行妨害の点につき

刑法第九五条第一項

判示第一の所為中傷害の点につき

刑法第二〇四条、罰金等臨時措置法第二条、第三条

判示第一の各所為間の関係につき

刑法第五四条第一項前段(重い傷害罪の刑に従い処断する。)

(懲役刑選択)

判示第二の所為につき

刑法第二〇四条、罰金等臨時措置法第二条、第三条

(懲役刑選択)

判示第一及び第二の所為の併合関係につき

刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条

執行猶予の点につき

刑法第二五条第一項

訴訟費用の負担につき

刑事訴訟法第一八一条第一項本文

以上を各適用し、主文のとおり判決する。

(昭和四〇年四月九日 佐賀地方裁判所武雄支部)

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